Story
episode 8 |
8月第1週の
よく晴れた日、二人は電車に乗って海に出かけた。
50m位沖にある浮島まで二人並んで泳ぎ、縄梯子で上にあがった。地元の小学生たちが代わる代わる飛び込んでいる。まっすぐ飛び込む子もいれば、宙返りをしながら飛び込む子、空中でおどけたポーズを作る子など、それだけ見ていても飽きないほどだ。彼と彼女もそんな小学生に交じって順番に飛び込んだ。
しばらくすると、小学生たちは全員で手を繋ぎ一斉に飛び込んだ後、岸まで戻って行った。
浮島の上に残された彼と彼女は顔を見合わせ、岸から一番遠い端まで行って手を繋いだ。「ヨーイドン!」彼女の声をきっかけに浮き島の上を全力で走り、手を繋いだまま頭から飛び込んだ。海の中で互いを引き寄せた二人は、同時に海面に顔を出した。あまりに彼女の顔と近づいてしまたためか、彼はのけぞるように後ろに倒れ込み、背泳ぎの体勢で空を見上げた。彼女も彼の傍らで仰向けになり、並んで空を見上げた。
青く晴れ渡った空には、夏の雲が一つだけぽっかりと浮かんでいた。
Created: 2005-09-28 05:22 | Copyright © 2005 Setsu. All rights reserved. |
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