Story
episode 31 | prev | 3of3 |
「これ…」
と差し出す彼女の両手には、幅が25cm位のラッピングされたものがあった。
「え?」
聞き返す彼に、彼女は答えた。
「この間貰ったぬいぐるみがとっても嬉しかったので、そのお礼なの」
3週間前に彼女が帰省する時、彼はちょっと早めのクリスマスプレゼントとして、彼女に大きなぬいぐるみをあげた。横浜駅から東海道線に乗って帰る時、彼女はそのぬいぐるみを袋に入れたりせず、そのまま左手で抱えていった。
「街を歩いていた時、ショーウインドーの中に飾ってあるのを見つけたの」
と彼女が続けた。
彼は受けとった包みをほどいてみると、2つの貯金箱だった。
「ありがとう、とっても可愛いな」
「よかった、そう言ってもらえて。少女趣味って言われちゃうかもって思ってたんだ」
彼女は本当に嬉しそうに微笑んだ。
「この貯金箱が一杯になったらどうしようか?」
キリマンジャロを一口飲んだ後、彼が尋ねた。
「そうねぇ… どこか食事にでも連れて行って」
そう言ってコーヒーを飲む彼女のしぐさを、彼はじっと見ていた。
Created: 2005-01-24 08:01 | Copyright © 2005 Setsu. All rights reserved. |
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