Story
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横浜駅西口
市営地下鉄9番出口の階段を、二人は上がって来る。
「スケートなんて久しぶり。中学生の時、狐ケ崎に良く行ったっけ」
彼女はスリムのジーンズに白いコート。彼もスリムのジーンズにウエスタンブーツをはいている。
「俺も久しぶり」
150m位歩いてスポーツセンターに着き、リンクを見渡す。
元気な声をあげて追いかけっこをする子供達や、静かに滑るカップル、独り黙々と滑る上級者。
金曜日の午後4時。多くの人達が左回りに滑っている。
シューズを借りてリンクに降りる。
彼も彼女も、スケートがあまりうまくない。最初は手すりに掴まりながら周回する。
だんだんとカンを取り戻してきたところで、皆の列に加わり、手を繋いで滑り出す。
時折バランスを崩して倒れそうになるものの、互いに手をひき、何とか転倒を免れる。
彼が、転んだ子供を避けようと向きを変えたとき、勢いがつきすぎて半回転してしまい、彼女と抱き合う形になる。
それまで冗談を交わしていた二人が、一瞬真顔になる。次の瞬間には笑顔に戻り、何事もなかったようにまた滑り始める。
1時間半くらい滑って、二人はスポーツセンターを出る。
相鉄の改札口近くのイタリアンのお店に二人は入る。
彼はボンゴレを、彼女はドリアを頼む。笑顔で楽しく会話を交わしながら、少し早めの食事だ。
食後にはキリマンジャロ。二人ともブラックが好みだ。
店を出た後、ジョイナスに入りウインドーショッピング。
4階から順に降りてきて、最後は地下2階のエスカレータ脇のベンチに座る。
クリスマスの飾り付けの前で、共通の友人の話で盛り上がる。
明日から冬休みに入る。午前中にあった最後の講議に提出するレポートのため、二人とも昨夜は遅くまで起きていた。スケートで結構疲れたので、いつもよりは早いけれど、帰ることにした。
地下鉄に乗り込み、前から2番目の車両の3つ目のドア付近の席に並んで座る。
桜木町あたりから、彼女は眠ってしまう。
関内を過ぎた所にある大きな右カーブで、彼女は彼の肩に寄り掛かる。ぐっすり眠っているままだ。
彼も眠いのを我慢していたが、彼女が夢の中でくすっと笑うのを見た次の瞬間、眠りに落ちていた。
Created: 2005-01-19 06:55 | Copyright © 2005 Setsu. All rights reserved. |
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