Story

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駅前の

花壇の周りにあるパイプでできた手すりに腰を下ろし、彼は彼女を待っている。

午前10時の待ち合わせより5分ほど早く、彼はここに着いた。
両手を上着のポケットに突っ込み、駅から出てくる人の流れを見るとも無く見ていた。

あと5m位の距離まで近づいて初めて、それが彼女であることに気がついた。見慣れた制服ではないうえに、いつもうしろで結んでいる髪を解いている。さらに眼鏡をしていないので、まるで別人のようだ。教室で、いつも斜め前の席に座っている彼女はこんなに美人だったのかと、彼は改めて思いながら、近づいてくる彼女に手を振った。

彼女も彼に気付き、笑顔になって小走りに近づいた。
「おはよう。ちょっと遅れちゃってごめんね」
「おはよう。制服じゃないとなんだか感じが違うね」
「そうかなぁ? きっと眼鏡が無いからじゃない? 今も手を振ってくれなければ、あなただって分からなかったかも」
「そんなに目が悪かったのか…」
「中学1年の夏くらいに、一気に悪くなっちゃったの。それからずっと眼鏡。本の読み過ぎだってみんなに言われた」
笑いながらそう言う彼女を見ていた彼は
「さて、出かけるか」
と言うと立ち上がり、彼女と並んで駅前通りに向かった。

二人は眼鏡屋に着くと店員に予算を告げ、いくつか候補を選んでもらった。彼女は次々に取り替えては鏡を覗き込んでいる。5分程そうしているうちに、彼女は候補を二つに絞った。
「どっちが良いと思う?」
「今かけているやつの方が似合うよ」
「やっぱり? 私もそう思ったけど、こっちの方がちょっと高いのよね。大丈夫?」
「全然OK」
彼女はフレームを決めたことを店員に告げると、検眼室に入っていった。
彼は店内をぶらぶら歩き回り、サングラスをかけたりしながら時間をつぶした。

「今回は度が進んでなかったみたい」
検眼室から出てきた彼女は、なんだか嬉しそうに彼に言った。
1時間くらいでレンズの加工が終わるというので、二人は支払いを済ませたあと一旦店を出た。

「マクドナルドに行ってコーヒーでも飲もうか?」
そう言う彼に彼女は頷くと、
「こうしているとなんだかデートみたいだね」
と、ニコニコしながら彼の左腕につかまった。

Created: 2006-02-12 08:08 Copyright © 2006 Setsu. All rights reserved.
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