Story
episode 25 |
高台に登る
坂道の途中にある公園に二人はいた。
その公園は二人がそれぞれ通っている高校のちょうど中間にある。3月中旬の暖かい日の夕方、学校が終わってから待ち合わせをし、坂道を登ってきた。
公園には二人以外に誰もいない。ブランコに乗りながら、期末試験を終えて春休みを待つばかりの二人は楽しそうに話をした。ひとしきり話をしたあとブランコを止め、彼はバッグの中から包みを取り出し彼女に手渡した。
きれいにラッピングされたクッキーだった。
さっそく開けて食べてみたいと彼女が言い、包みを開いた。美味しそうに食べる彼女の笑顔を見て、彼は幸せな気持ちになった。あんまり美味しそうに食べるので、彼も食べてみたくなった。
「私の食べる分が減っちゃうから、ひとつだけよ」
と彼女が差し出す袋から、ちゃっかり二つもらって食べた彼からも笑顔がこぼれた。
二人の目の前にはきれいな夕焼けが広がっていた。
Created: 2005-03-12 14:13 | Copyright © 2005 Setsu. All rights reserved. |
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