Story
episode 21 |
4月7日の朝
彼女はバスに乗り込んだ。
前日は入学式だったので母親と二人で行った。中学までは自転車で通学していたので、定期を買ってバスで通うは初めてだ。バスの中央からやや後ろの左側、一人掛けの席に座った。同じバス停から乗ったのは数人の会社員だけ。学生は彼女一人だった。
それから3つ目のバス停で、彼が乗って来た。整った顔だちをして、身長は175cm位あるだろうか。彼はバスの中をぐるりと見渡したあと、彼女のすぐ前の席に座った。座る直前、彼の詰め襟の制服の左側に、彼女と同じ高校の校章があるのを見つけた。なんだか嬉しくなってしまった彼女は、笑みがこぼれるのを隠すように、窓の外に顔を向けた。
Created: 2005-04-08 05:55 | Copyright © 2005 Setsu. All rights reserved. |
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