Story
episode 19 |
カーステレオから
流れる音楽が3回変わっても、車は全く動かない。ひどい渋滞だ。
助手席に座っている彼女は運転席の彼をまっすぐに見て、何か一言告げた。彼女の方を向いていた彼が視線を前に戻した時、彼女は助手席のドアを開け、外に出た。
白いブラウスに短いスカートの彼女は、渋滞している車の間を縫って鋪道に近付いた。車の進行方向と同じ向きに歩きながら、車道との境にあるパイプ製のガードレールを見た。この先しばらくは途切れること無く続いていることを確認すると、少しだけ歩調を早め、左手を支柱について両足を前に振り上げ、ガードレールを飛び越えた。
さっきまでと同じペースで鋪道を歩き続ける彼女の長い髪が、春の風で揺れていた。
Created: 2005-04-24 08:52 | Copyright © 2005 Setsu. All rights reserved. |
このストーリーを気に入っていただけたら、こちらからドネーションしていただけると助かります。(100円です) |