Story
episode 13 |
曲がりくねった
坂道を、空冷4サイクル単気筒SOHC2バルブ399ccのバイクが登ってきた。
頂上にある建物の前にバイクを止め、右足を後ろに振り上げて、彼女はバイクを降りた。ガソリンタンクからバッグをはずした彼女は建物の中に入り、階段を降りた。ここにある湖を見渡せる風呂が大好きな彼女は、数カ月に一度くらいここを訪れる。今日も天気が良い。
青空と湖そして風呂を存分に楽しんだ彼女は、階段を登り、ラウンジでコーヒーを飲んだ。彼女の席からは自分のバイクが見える。まだ少し残っているコーヒーカップをテーブルに置いた時、向こう側からバイクが近付いてくるのが見えた。彼女と同じタイプのバイクだ。
彼女のバイクの向こう側に並べて止まると、ライダーはステップの上に一度立ち上がったあと、弾みをつけるようにバイクを降り、ヘルメットをとって彼女のバイクと自分のバイクを比べるように眺めていた。
真っ赤なタンクの自分のバイクの向こうにある黒いタンクのバイクと、その向こうにいる彼の表情を楽しみながら、彼女は最後の一口を飲んだ。
Created: 2005-05-25 05:38 | Copyright © 2005 Setsu. All rights reserved. |
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