Story

episode 6

クリスマスイブの日

お昼ちょっと過ぎに、彼女はJRと私鉄が乗り入れる大きな駅に着いた。

駅前の広場に出て彼の姿を探したが見当たらなかったので、植え込みを囲むように並んでいるベンチの一つに腰を下ろして彼を待った。ベンチはかなり冷たくなっていたので、彼女は浅く座り直し両足を前に伸ばした。

昨晩の電話で、きちんと時刻を指定せずに「お昼」とだけ約束したことを彼女は思い出した。彼はすぐに来ないかもしれないなと思いながら、両手を息で暖め、駅前の道路を行き交う人々をぼんやりと見ていた。

10分程そうしていると、改札を抜け、こちらに向かってくる彼の姿が見えた。手を振る彼女を見つけると、彼は小走りに彼女に近づいた。遅くなったことを詫びる彼に、彼女は少しほおを膨らませ怒ったふりをしたが、彼に手を引かれて立ち上がる時にはもう笑顔だった。

どこで昼食を食べるか相談し、二人は歩き出した。交差点で信号待ちをしている時、彼は向かいのビルの壁にある時計に気がついた。信号が青に変わり歩き出してから、彼はその時計を指差して彼女に何か言った。それを聞いた彼女は笑顔で答え、コートのポケットに入れていた手を出して、彼と手を繋いだ。

その時計は12時24分を示していた。

Created: 2005-12-24 06:51 Copyright © 2005 Setsu. All rights reserved.
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