Story
episode 18 |
バス停の
アナウンスで目がさめた。頭の中がまだぼんやりしている。数秒経ってから、乗り過ごしてしまったことにようやく気がついて、慌てて停車ボタンを押した。
バスを降りるとすぐに彼女は小走りに走り出した。左手の時計を見ると6時10分。まだコンサートの開場時間には充分間に合う。信号で止められて1つ向こうのブロックを見ると、バス停のそばに彼が立っていた。反対側を向いて、次に来るバスを気にしている。
歩道の一番お店寄りの端を選んでそっと近付いていけば、彼に気が付かれずにすぐそばまで行けるかもしれない。そう思った彼女は、人込みに紛れ、そっと彼の背後から近付いていった。
不安げな表情で待っている彼の背中を叩こうと右手を上げた彼女は、とても良い笑顔をしていた。
Created: 2005-05-02 10:07 | Copyright © 2005 Setsu. All rights reserved. |
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